【ニッポンの食、がんばれ!】米穀店の「ソムリエ」が一役(産経新聞)

 ■魅力伝え「主食」復活を

 湯気を立てる茶碗(ちゃわん)1杯のご飯は、主食として日本の食卓を支えてきた。ところが、米の消費量は減り「ご飯離れ」が進む。あとひと口ずつ米を食べれば、食料自給率が1%上がるとも言われる中、ソムリエのように銘柄ごとの味わいを伝える米穀店がある。嗜好(しこう)品を選ぶように、米の魅力を伝えることで「主食」は復活できるのか。(津川綾子)

 ≪銘柄は570種に≫

 「土鍋か炊飯器、何で炊く?」「和食派ですか?」

 米穀店「スズノブ」(東京都目黒区)の接客は、時に30分に及ぶ。魚を食べるなら煮魚か、刺し身か。ご飯は甘めが好きか、朝食のメニュー、お弁当作りはするかどうか…。客の食生活や味の好みを聞き出すと、数ある銘柄から好みに合いそうなものを選びだす。

 区内の女性会社員(35)は「味の好みや、お弁当も作ると伝えたら5種類をすすめられ、『夢ごこち』に決めた」。また、「コシヒカリを」と初来店した夫婦連れは10分後、昨秋発売の新ブランド「土佐天空の郷ヒノヒカリ」を買った。減量中のボクサーから「少量でも腹持ちがいい米は」という注文も舞い込む。

 客の好みやライフスタイルに合わせ、さまざまな銘柄を提案する同店の西島豊造社長は、米のソムリエと呼ばれる。

 日本では多様な品種が各地の田ではぐくまれ、平成21年産の主食用米(水稲うるち)の産地品種銘柄は570種に上る。素人では選びきれない。スズノブには約60種の地域銘柄が並ぶが、西島社長は米それぞれの味わいの特徴に加え、産地の気候や土壌、田の歴史まで客に伝える。「米は水や空気に似て身近すぎた。適当に選んでも、どの米もそこそこの味。恵まれすぎて米選びが無意識になり、自分に合った米を食べていない」。だからこそ、米の魅力を伝えたいとの思いは熱い。

 ≪食卓の変化に≫

 日本人は米を食べなくなった。今や1人当たりの消費量はピーク(昭和37年)の約半分。洋食化が進み、パン食も広がった。

 ならば、米が「主食のプライド」を捨て、食卓の変化に歩み寄ればよいのではないか。スズノブでは約6年前から、料理との食べ合わせを考え、2、3銘柄をブレンドした米も販売。肉料理やデミグラスソースの味にも負けないよう、佐賀産「あうちヒノヒカリ」をベースに3種類を混ぜた「夕食ご飯(食べ応え)」のほか、「トマト鍋」や「カレーライス」など料理名をつけたブレンド米もある。

 1食につき米を「あとひと口」多めに国民全員が食べれば、食料自給率が1%上がる。こんな試算が「食料・農業・農村白書」にはある。「おいしい米を口にすれば、おのずと食べる量も増える。食べろという前に、好みに合う米を選べるようにするのが筋」と西島社長。米選びのプロが担う役割は、今こそ大きいはずだ。

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 日本の食料自給率は41%(カロリーベース)。食の約6割を海外に依存する中、日本の農業や食品産業、流通産業を維持・発展させるためにも食料の安定供給は重大な問題となっている。産経新聞社は「ニッポンの食、がんばれ!」キャンペーン(www.nippon−shoku.com)を通じて、食料自給率の向上を目指します。

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 ■購入の決め手は「価格帯」

 消費者は何を決め手に米を購入するのか−。JA総合研究所(東京都千代田区)が昨年、男女1360人に聞いたところ、「価格帯」が69%で最も多かった。購入場所では「スーパー」(43・6%)が最多。次いで、「家族・親戚(しんせき)の有償または無償提供」(23・2%)、「生協」(8・2%)、「生産者」(7・9%)、「米穀店」(5・1%)の順だった。

 商業統計(経済産業省)によると、平成19年の米穀類小売業の数はピーク時(昭和57年)の4割に減少。販売額はピーク(60年)の約5分の1と打撃は深い。スーパーの安価な米に消費者が流れる傾向が背景にあるようだ。

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